林檎 -ringo- ①

第1章 種蒔

始業式が終わり、教室に戻ってきた。


でも、なかなか先生が戻ってこないから

私は自分の席に座って

舞子と紗羅とお喋りでもして過ごすことにした。



「ねえ、このクラスどう思う?他の子ってどんな感じなんだろーね?」



舞子が私に尋ねる。


「うーん、どうなんだろう。私さ、あんまり他の男子とちゃんと喋ったことないから、そっちのほうが心配かも。」


実は、私は男子に対してちょっと苦手意識があった。


小学生のとき、男子に髪型をバカにされたり
叩かれたりしたことがあって。

何だかそれが軽くトラウマで、
私はあまり男子とは関わらないようにしてる。




「それは大丈夫だよ、ウチらがついてるし。
それに、隣の席の皓太はマジでおもしろいし、
裏表ないから、絶対楽しいよ!」


舞子がそう続けると、


「は?俺別におもしろくないから!なんかすいませんね、コイツが変なこと言うから。俺別に変な人じゃないんで!」


草野くんが、私に明るく話してくれた。


そっか、裏表がない人なのか。

それに、気さくに私にも絡んできてくれた。






私はそれが、純粋に嬉しかった。


今まで、ほとんどの男子は
大人しめな私に
話しかけてくることはなかったから。


なんか新鮮で、



ちょっとだけ




ほんのちょっとだけど






ドキドキした、かも。





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横川先生が教室に戻って来ると

みんなで自己紹介をした。
みんなの部活や趣味を少し知った。



草野くんは、テニス部だけど
サッカー観戦が好きだって言ってた。


ん?


なんでサッカー部じゃないんだろう…?



私は、なんだかそれがすごく気になって

勇気を出して話しかけてみた。



「ねえ…、サッカーが好きなのに、なんでテニス部に入ってるの?」


「え、やっぱそこ気になった?
いや実はさ、小学生のときサッカーやってたんだけど、
下手すぎて俺向いてなくて!
だからテニスにしたんだけどさ。テニスのほうがイケるんだよね。
そうだよね、側から聞いてると、めっちゃ矛盾してるよね。」

あはは、と笑いながら楽しそうに、私に教えてくれた。


「そうなんだ…!色んなスポーツが好きっていいね。」



私、何年ぶりだろう。

男子とちゃんと話せた。


それが、すごく嬉しくて

私の目を見て、

楽しそうに笑った
草野くんの顔を見て






胸がきゅん、となった。






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