地味なカフェ店員ですが一夜の相手が社長で溺愛されています
そして、少しだけ言いにくそうに視線を外す。

「……すみません。お名前を、きちんと伺っていませんでしたね」

「あ……咲、です。小鳥遊咲といいます」

そう言うと、御門さんはゆっくりと私を見て。

そっと、髪に触れた。

驚いて固まる私に構わず、指先で軽く整えるように撫でる。

「……素敵な名前ですね」

その一言に、顔が一気に熱くなる。

どうして、こんなに自然に触れてくるんだろう。

どうして、こんなふうに言葉をかけてくるんだろう。

昨夜のことが、頭の中で一気に蘇る。

――抱きしめられて、キスをされて。

優しく触れられて。

「あの……」

何か言おうとして、言葉が出てこない。

そんな私を見て、御門さんは小さく息をついた。

「私は、悠生です」

少しだけ柔らかくなった声。
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