地味なカフェ店員ですが一夜の相手が社長で溺愛されています
その日の仕事は、いつもより長く感じた。

時計を見る回数が、増えている。

――今夜も来ます。

朝、そう言われた言葉が、何度も頭の中で繰り返される。

閉店作業を終えて、エプロンを外す。

店内は静かで、昼間の喧騒が嘘みたいだった。

電気を落とし、鍵をかける。

外に出ると、夜の空気がひんやりと肌に触れた。

少しだけ、辺りを見渡す。

自分でも理由はわかっている。

もしかしたら――そう思ってしまっている。

そのとき。

「お疲れさまです」

聞き慣れた声が、静かに届いた。

振り返ると、街灯の下に悠生さんが立っていた。

昼間と同じスーツ姿。

けれど、夜の中にいると、どこか雰囲気が違って見える。

「悠生さん……」

思わず名前を呼ぶと、彼はわずかに目を細めた。

「お待ちしていました」
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