地味なカフェ店員ですが一夜の相手が社長で溺愛されています
気づけば、自然と笑みがこぼれていた。

――この人と一緒にいると、不思議と心が満たされる。

何も特別なことをしているわけじゃないのに。

ただ、隣にいるだけで。

「……今夜も、伺ってもいいですか」

ふいに、そんな言葉が落ちてくる。

「え……あ、はい」

戸惑いながらも、頷くと。

「では、夕食を。外で」

穏やかな提案。まるで、もう決まっているかのように自然で。

「……はい」

今度は、はっきりと頷いた。

コーヒーを飲み終えた悠生さんは、カップを置くと、静かに私へと近づく。

一瞬だけ視線が重なって。そっと、唇が触れた。

短くて、でも確かに残る感触。

「……では、行きます」

ジャケットを羽織りながら、いつもの落ち着いた声に戻る。

「はい……いってらっしゃいませ」

扉が開き、閉まる。

その背中が、朝の光の中でやけに眩しく見えた。

気づけば、私はしばらくその場から動けずにいた。
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