地味なカフェ店員ですが一夜の相手が社長で溺愛されています
うまく言葉にならない。

「……すみません」

思わず、そう口にしていた。

「お店のことも……巻き込んでしまって」

自分のせいで、あんな空気になってしまった。

そう思うと、胸が締めつけられる。

「謝る必要はありません」

すぐに返ってきた声は、静かで、はっきりしていた。

「むしろ、もっと早く気づくべきでした」

その言葉に、思わず顔を上げる。

「……え?」

「あなたが、無理をしていることに」

足が、止まりそうになる。

どうしてそんなことまで、わかるんだろう。

「……あの」

何か言おうとして、言葉が詰まる。

すると悠生さんが、ゆっくりとこちらを見た。

街灯の光の中で、その表情ははっきりと見えない。

けれどその声だけは、まっすぐに届く。

「もう、同じ思いはさせません」
< 62 / 90 >

この作品をシェア

pagetop