地味なカフェ店員ですが一夜の相手が社長で溺愛されています

5章 俺が守るから

店の灯りを落とし、最後の鍵をかける。

外に出ると、夜の空気がひんやりとしていた。

さっきまでの出来事が、まだ胸の奥に残っている。

「……送ります」

隣に立った悠生さんが、静かに言った。

「え……でも」

反射的に遠慮しようとした言葉を、彼はやわらかく遮る。

「一人で帰すのは、気が進みません」

穏やかな口調なのに、迷いがない。

「……お願いします」

小さく頷くと、彼はそれ以上何も言わず、歩き出した。

並んで歩く。

さっきまでの緊張が嘘みたいに、夜は静かだった。

街灯の明かりが、足元を淡く照らす。

「大変でしたね」

不意に、そう言われる。

言葉にされた瞬間、胸の奥に溜めていたものが揺れた。

「……はい」

それだけしか言えない。

本当は、もっといろいろあるのに。
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