無自覚系お姫様は溺れるほどに愛され中
このままじゃ、リオ君と離ればなれになっちゃう!
とにかく、落ち着かないと。
展示物は美術準備室に集められる。
それなら昼休みの時間内に取り戻せばいいだけのことだし、会長の判のある書類を小佐田さんに提出すれば遅延は咎められない。
クラスでの出し物は唯一私たちで自由にできるいちばんの楽しみだから、私一人のせいでペナルティーをもらうわけにはいかない。
まずは碧葉君のところへ訂正印をもらいに行かなくちゃ。
お昼休みは長いし大丈夫、取り戻せるよ!
そう言い聞かせてみても不安で仕方ない。
リオ君、不安にさせてごめんね。
ちゃんとお利口に待っててくれるよね?
これまでずっと話を聞いてくれるだけだったのに、いきなり喋りだすし勝手に動き出すんだもん。
穏やかで大人しい子なんだろうと思っていたのに、あんなに自由な子だったなんて知らなかったよ。
歩き回って人目についてしまうと忌まわしいって処分されてしまうかもしれないのに、そういうことなんて考えてなさそう。
燃えるゴミに出されたらどうしよう!
そんなことを考えて軽くパニックになっていると、知っている声に名前を呼ばれた。
「紺野、美術室に行こうか」
碧葉君が包みを掲げてこっちを見ていた。
「生徒会長、はるばる1組までお迎えにいらしたんですか?」
「そんな言い方大袈裟だよ」
彼のそばにいた女の子たちがいっせいに彼に吸い寄せられていく。
「家のものが折を持たせてくれたから昼食はあっちでいい?」
なるべく隣に並びたくないとあれだけ避けてきたのに、彼の登場に泣きそうなくらい安心した。
「碧葉君、急いでもいいですか? 不本意なものが展示されそうでいてもたってもいられなくて」
捲し立てると碧葉君は表情の読めない真顔になった。
「紺野の慌てた顔なんて初めて見た気がする。なんか新鮮だね」
予想外の言葉が返ってきて無意識に顔が赤くなった。反して彼とおしゃべりしていた石野さんと政木さんの顔がいつものように曇り出す。
「大丈夫、なんの問題もないよ。仕事量が多いけどできるだけ俺が捌くから無理しないで」
「ありがとうございます」
後味の悪い視線を感じながらふたりで美術室へと向かうことになった。