桜の奇跡
バイトが終わって自転車を走らせる。
昼間とは違って夜はやっぱり冷えるな。
街頭を頼りに、良く廉と来ていた公園まで辿り着いた。


満開の桜に惹きつけられるように。
咲き誇る桜から、時々風に乗って花びらがふわり舞う。
あっという間に咲いて、散ってしまい儚い。
恋みたいだ。

私は自転車を停めて、ベンチに座った。

この公園のベンチで、バイトが終わってから、良くたわいもない話をした。





ちょうど去年の今頃、花びらが舞っていた。

廉の髪の毛に花びらがついて、私が取ってあげた。
それだけでも笑顔だった。

くしゃっと笑った笑顔が大好きだった。

初めて手を繋いだ時は、力の強さに驚いた。
「力強い……かも」控えめにそう言ったのを覚えてる。
「ごっ、ごめん」って慌てて引いた廉の手が震えてた。

「来年も一緒に桜見よう」
そう約束したのに。


懐かしく感じた。


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