万華鏡は月を巻き戻す

羽瑠が生きてるか確認するために、
俺はネットで黒木巧を検索した。

あった…。

『蝶はやっぱり自由に飛び回っている方がいい。』

その言葉とともに載っていたのは、
蝶々がふわり舞う中に立つ、羽瑠の後ろ姿の写真。

日付は――最近だ。

生きてる。

胸が熱くなり、息が震えた。

今すぐ会いに行きたい。
抱きしめたい。
名前を呼びたい。

でも――

羽瑠に会いにいこうと思ったけど、
今会いに行っても17歳の俺ではきっと相手されない。

大人になって、
ちゃんと隣に立てるように。

そう決意して、俺は海外に戻った。

そこからの時間は、
まるで何かに追われるように必死だった。

勉強して、
飛び級で大学を卒業して、
医者になるために走り続けた。

全部、羽瑠にもう一度会うため。

◇

21歳、4月。

俺は研修医として日本へ行くことになった。

胸の奥で、
ずっと失われていたはずの鼓動が、
ようやく“未来”へ向かって動き出した気がした。

「羽瑠…もうすぐ会える。」

そう呟いた声は、
震えていたけれど、
確かに希望に満ちていた。
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