きみだけのぬくもり

蒼 凛のぬくもり

七瀬のぬくもりを思い出す。あの温度、あの声、あの掌……なのに、目の前には凛がいる。冷たくもなく、温かくもない、でもどこか理性を削るような視線が俺を捕らえる。

「蒼…我慢できないでしょ」

その一言に、心がざわつく。理性は七瀬の影を追い、体は凛の熱に反応する。矛盾、罪悪感、欲望――全部がごちゃごちゃになって、胸の奥で何かが崩れ落ちる。

凛の手が肩に触れる。柔らかいのに、力強い。指先が服の下に滑り込むたび、頭の中が熱と混乱で溶ける。呼吸が荒くなり、心が追いつかない。

「ねぇ…蒼」

唇が重なる瞬間、全てが錯乱する。七瀬の声が脳裏に響き、でも凛の体温が現実を支配する。甘く絡む舌先、痺れる指先、耳元で漏れる吐息……体はもう抗えない。

「ごめん…」

言葉に出した瞬間、凛は微笑む。でもその笑みは優しさじゃなく、俺を破壊する刃のようだった。心も体も、少しずつ溶かされ、奪われる。七瀬のことを思うたび、罪悪感が疼く。でもその痛みさえ、凛の手と唇で甘く変わっていく。

夜が深まるほど、二人は際限なく絡む。快楽と罪悪感、愛情と独占、痛みと甘さ――全てが入り混じり、心を引き裂く。理性はもう、どこにもない。

「蒼…あなたは、私のもの」

凛の囁きが、耳と心に刺さる。逃げることも抗うこともできず、ただ体が反応し、心が溶ける。罪と快楽が混ざり合い、七瀬への思いさえも、甘く毒に変わる。

俺はもう、二人の間で揺れるだけ。七瀬への執着、凛への欲望。心も体も壊れ、でもその崩壊さえも、生きる実感として刻まれる。夜は終わらず、罪と快楽の渦に巻き込まれたまま、俺はただ震えていた。
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