きみだけのぬくもり

蒼 七瀬のぬくもり

七瀬と二人きりになった部屋。外はもう夜だが、世界はまるで止まっているかのようだった。あの日の約束も、涙も、笑顔も、すべてがここに溶け込んでいる。

「蒼…」
その声だけで、体の奥が疼いた。七瀬の瞳がじっと俺を見つめる。甘さと焦燥、愛情と独占――すべてが混ざった視線に、理性はもう通用しない。

手が自然に伸びて、彼女の髪を撫でる。指先が触れた瞬間、胸の奥が締め付けられる。柔らかくて温かい――でもそれだけじゃない、少しの狂気が混ざった、七瀬らしいぬくもり。

唇が触れた瞬間、頭の中のすべてが消える。甘く絡む舌先、触れ合う体温、吐息が耳元で震える。体の熱は、心の奥まで染み込み、理性の最後の砦を崩していく。

「蒼、もっと…」
七瀬の声に、俺はただ応える。服越しの触れ合いだけで、体は熱く痺れ、心がぐちゃぐちゃに溶けていく。彼女の手が腰に回り、体を引き寄せると、全身が欲望に支配されるのがわかる。

痛みと快楽が混ざり合う中、俺は七瀬を抱きしめながら、思わず呟く。

「俺…七瀬なしじゃ、もう…いられない」

その言葉に、彼女は微笑む――でもその微笑みは甘く優しいだけじゃなく、俺を完全に縛り付ける鎖のようだった。体も心も、彼女に捧げたくなる、逃げられない狂気。

夜が深まるほど、二人は際限なく求め合う。体と体だけでなく、心までも絡め合い、快楽と痛みが混ざり合う。その一瞬一瞬が、読者の胸を引き裂くような濃密さを帯びていた。

「蒼…私だけを見て…」
七瀬の囁きに、俺は何も言えない。ただ頷く。もう、言葉も思考も意味を持たない。あるのは彼女だけ。彼女の熱だけ。彼女のぬくもりに溺れる自分だけ。

夜が明けても、俺たちはまだ絡み合っていた。心も体も壊れかけ、でもそれすら幸福に感じてしまう――七瀬と俺だけの、終わらないぬくもりの中で。
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