極貧孤児に転生したので、親を探して文句を言おうと思う

プロローグ

 大地が――――真っ白な雪に支配されていた。
 
「はぁ……ふっ……」

 聞こえてくるのは微かな靴音と、洋風の古めかしい衣装を身に着けた男性の苦しげな息遣いだけ。
 その足跡も、口元から滴る血も。ひとつも余すことなく雪が冷たく覆い隠していく。

「はぁ、もうすぐだぞ。もうすぐだからな……」

 男の腕には赤ん坊。寒そうに身を縮め、風邪にでもかかっているのか咳をして辛そうだ。

『まま……』

 なぜだろうか、私にはその心の声が聞こえた。柔らかな顔立ちからして女の子だろうか……あどけない手が力なく上がり宙を掻く。

『ぱぱ。ままは……どこ』
「頑張れ、もうすぐなんだ。もうすぐお前を、誰にも追われず平和に暮らせる場所に連れて行ってやれる」
『ままに、あいたいよ』
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