ダウナーちゃんは死にたがり
風の音。

遠くのグラウンドの歓声。

体育教師の笛。

全部が、薄くて遠い。

亮哉は煙草を咥えたまま、ちらりと伊織を見る。

「今日、珍しくちゃんと授業受けてたじゃん。」

「宇野くんもね」

「いやいや、俺は優等生だから。」

「未成年喫煙者なのに?」

「そこだけ切り取らないでほしい。」

伊織は可笑しそうに小さく笑った。

その笑い声を聞きながら、亮哉は煙を空へ吐く。

白い煙は風に流されて、すぐ形を失った。

伊織はぼんやりとそれを目で追う。

「……煙ってさ」

「ん?」

「なんか、いいよね。」

亮哉が少し眉を上げる。

「昨日まで“体に悪い”って言ってたのに?」

「それは今も思ってる。」

「じゃあ何がいいの。」

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