敗戦の姫ですが敵国の皇帝に狂おしく溺愛されて逃げられません
第1章 敗戦の夜
夜の城は、炎に包まれていた。
赤く揺れる火が、夜空を焼き尽くすように広がっていく。
崩れ落ちる瓦礫の音と、兵の叫び声が絶え間なく響いていた。
「姫様、お下がりください!」
侍女の声が耳元で震える。
けれど私は、首を横に振った。
「まだです」
手にした剣を握り直す。
重い。けれど、その重みが、私を立たせていた。
私は、孟国の姫。
この国が落ちるその瞬間まで、立っていなければならない。
目の前では、最後の防衛線が崩れかけていた。
信の軍勢は圧倒的で、もはや押し返す力は残っていない。
それでも――
「前へ!」
自分でも驚くほど、声はよく通った。
兵たちが振り返る。その目に、わずかな光が宿る。
あと一歩。あと一歩踏み出せば、まだ――
だがその瞬間。轟音とともに、城門が崩れ落ちた。
「……っ」
全てが、終わったと分かる。
赤く揺れる火が、夜空を焼き尽くすように広がっていく。
崩れ落ちる瓦礫の音と、兵の叫び声が絶え間なく響いていた。
「姫様、お下がりください!」
侍女の声が耳元で震える。
けれど私は、首を横に振った。
「まだです」
手にした剣を握り直す。
重い。けれど、その重みが、私を立たせていた。
私は、孟国の姫。
この国が落ちるその瞬間まで、立っていなければならない。
目の前では、最後の防衛線が崩れかけていた。
信の軍勢は圧倒的で、もはや押し返す力は残っていない。
それでも――
「前へ!」
自分でも驚くほど、声はよく通った。
兵たちが振り返る。その目に、わずかな光が宿る。
あと一歩。あと一歩踏み出せば、まだ――
だがその瞬間。轟音とともに、城門が崩れ落ちた。
「……っ」
全てが、終わったと分かる。