家も仕事も失いましたが、一夜の恋で授かったお腹の子ごと若手社長に溺愛されています

一夜の恋が明けたあと

(あれ……ここ、どこだっけ)

 意識が浮上するのを感じて、明莉(あかり)は目を開けた。

 くるまっていたシーツの中で軽く身じろぐ。

 すると、ある香りが、ふわっと鼻をくすぐった。

 太陽の光に匂いがあるならこういう香りかもしれないと思わされる、ぬくもりある香りだ。

 でもそれは一瞬だった。

 窓から差し込む明るい日差しによって、室内の様子が目に入った。

 だいぶ豪華な部屋だ。

 どうやらホテルの一室に見える。

 カーテンが開けられて、たっぷりと朝日が差し込む大きな窓。

 奥には洗面所などに通じていそうなドア。

 部屋の端には、ソファとローテーブル。

 壁にはチェストと、壁掛けの大きなテレビ……。

 その部屋の中心に置かれた、ダブル以上のサイズのベッドに自分は寝ていたのだ、と認識した。

 ここへ来たときは酔っていたから正確に認識していなかったけれど、思っていたよりずっと高級なホテルだったらしい。

(……ああ……そうだ。昨日はバーで飲んでて……その後……)

 軽く頭を押さえた。

 酔いはもうすっかり抜けているが、頭がくらっとしたのは、現状を正しく把握したためだ。

 でももう朝が来ている。

 今日は日曜日のはずだから急がなくていいけれど、起きなければ。

 それに状況が確かなら、一人ではないはずなのだ。

 ベッドの上に起き上がる。

 くしゃくしゃになった長い茶髪に指を通して、軽く整えた。

 体にも一応ロングシャツのホテル用パジャマをまとっていて、安心したときだった。

 奥のドアがガチャ、と鳴って、一人の人物が出てくる。

「ああ、起きたのか」

 こちらを見て、ちょっと意外そうにそう言ったのは、まだ若い男性だ。
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