家も仕事も失いましたが、一夜の恋で授かったお腹の子ごと若手社長に溺愛されています
「意気投合しちゃってさ。とんとん拍子に結婚の話が出たわけ。だから早いほうがいいと思ったんだ。お前のことも、拘束してたら悪いしさ」

 なにも言えない明莉に対して、圭二は飄々(ひょうひょう)と話す。

 まったく悪いなんて思っていない態度なのに、最後にはそう言った。

 その言い方は、明莉の心の中を刺激した。

 凍りついていた心が少しだけ溶けて、まともな思考が顔を出す。

 そこから事実が頭の中へ浸透して、カッとお腹の中が熱くなった。

 いきなりこんな話をされて、到底すぐには呑み込めない。

 だけど一点だけは理解できた。

「う……浮気してたってこと!?」

 絞り出すように指摘した。

 口に出してから、その言葉が自分の胸に突き刺さる。

 だって圭二の言い方は、そうでしかないだろう。

 もちろん圭二は悪びれもなく肯定した。

「まぁ、そういうことかな。別に問題ないじゃん? お前とは婚約もしてなかったしな」

 図太すぎることを言う。

 理解が追い付かない明莉には、すぐに反論の言葉が思いつくわけもなかった。

 ただ、ぐるぐると嫌な感覚が頭の中と体を満たす。
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