家も仕事も失いましたが、一夜の恋で授かったお腹の子ごと若手社長に溺愛されています
 午前中、明莉は独りきりになったリビングで呆然と過ごした。

 そして『とにかく今の状況に向き合わなければいけない』と思ったのが午後になった頃だ。

 まず仕事について考えようと思ったが、思い直した。

 こちらは退職金と猶予期間がある。

 お金の不安は皆無ではないものの、即座に一文無しになることはない。

 それより問題は住まいだった。

 ここは賃貸のマンションだ。

 2LDKの間取りで、家賃は十五万円ほど。

 今までは折半だったから、都内に住む二十代の会社員でも払える金額だったけれど、一人で満額は払えない。

 借主の名義が圭二でなかったのが幸いしたが、それでもすぐにでも引っ越すべきだ。

 退去の二ヵ月前には連絡をしなくてはいけないから、今引っ越す決意をしても、二ヵ月分の家賃は必要になる。

 それから退去の際には諸経費もかなりかかるだろう。

 行動するなら早いほうがいいのだ。

 よってスマホで賃貸物件を探し始めたのだが、現実味がまったくなかった。

 一昨日まで、こんな事態になるなんて想像もしていなかったのに。

 安定した営業事務職で働きながら、圭二と楽しく過ごして、遠くないうちに結婚できたら、なんて思っていたのに……。
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