家も仕事も失いましたが、一夜の恋で授かったお腹の子ごと若手社長に溺愛されています
 明莉の足元が慣れない草履だから、心配なのだろう。

 優しい手に守られているのを実感して、明莉は自然と笑みを浮かべていた。

「ありがとう」

 素直なお礼の言葉が出る。

 巳影が特に気遣ってくれるのは、今日が大切な外出の日だからだ。

 今日で莉奈が生まれてから、ちょうど一ヵ月。

 お祝いとご祈祷のために、お宮参りに行くのだ。

 だから三人とも服装をきちんと、それでいて華やかに整えた。

 これから巳影の車で出発するところだ。

「自然光の下で目にすると、明莉もさらに綺麗に見えるよ。よく似合っている」

 車に向かいながら、巳影が褒めてくれる。
< 244 / 255 >

この作品をシェア

pagetop