家も仕事も失いましたが、一夜の恋で授かったお腹の子ごと若手社長に溺愛されています
 巳影も同じように思ったようだ。

 気恥ずかしく思っているときの空気が伝わってくる。

「あらぁ~、素敵! 幸せいっぱいだわ!」

 先に声を出したのは、逆から覗き込んでいた母だった。

 頬を緩めて、明るい声で褒めてくれる。

「あ、ありがとう……」

「ちょっと気恥ずかしいですね……」

 明莉と巳影の声は、明らかにはにかんだ。

 嬉しく思うけれど、両親たちに見られるのはくすぐったい。

「そうだろう! おじいさまたちも見てくださいよ」

 なのに父はさらに満足げになり、辰巳たちまで呼んでしまう。

 やってきて写真を見た辰巳と祖母も、大いに頬を緩めたのは言うまでもない。

 明莉と巳影の気恥ずかしさも、ますます強くなった。

 だがこれは幸せな意味からの照れだ。

 こんな表情で写真に収まれたのだから、二人と、そして腕の中の莉奈も、心から幸せでいられているのだろう。
< 254 / 255 >

この作品をシェア

pagetop