家も仕事も失いましたが、一夜の恋で授かったお腹の子ごと若手社長に溺愛されています
 会社の先行きについて、明莉たち一般社員は順調だとばかり思っていたが、裏ではかなりの経営難に陥っていたそうだ。

 社長や管理職が奔走したものの、この不況の時世ということもあり、立て直しは難しく……すっぱりと諦めることにした、という話をされた。

 だが明莉にとっては倒産に至る経緯よりも、自分の置かれた状況が問題だった。

 だって職を失うことになる。

 その事実が浸透してきて、痺れていた頭の中が、ゆっくりと冷たくなる。

「きみたちには本当に申し訳ない。退職手当ては払うし、猶予期間も取らせてもらうから……」

 続いて社長が待遇について詳しく説明したが、事実は覆らない。

 話が終わってから、明莉も、ほかの社員も呆然としていた。

 自分たちは会社都合による失業をした、と思い知ったのだ。
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