恋愛はめんどくさい!

「そういえば、まだ返事してなかったね」

 私は遠くを見ながらそう言った。

「ん? なんの返事?」
「先輩の告白に対する私の返事」

「……え? 今更なしとかって、ありなの?」

 先輩は少し驚いたような顔で、私の様子を伺っている。

「だって、まだ『お試しのお付き合い』のままでしょ」
「うーん、まあ、そうかもしれないけど……」

 と言いつつも、先輩は何だか不敵に微笑んでいるように見える。

 私は先輩の顔を見ながら、胸を張って言った。

「もちろん、これからもいっぱい話をして、いろんなところに行くつもり。これが、私の答えです」
「そっか、それはよかった」

「でも、もうひとつ、言わなきゃいけないことがあるの」

 星川先輩は真顔になった。
 何を言われるのだろうか、といった表情だ。

 私は先輩に向かって言った。

 今の、素直な思いを――

「私も……星川先輩が好きです」

 春のやや強い風が吹き抜けて、クスノキの葉擦れの音がした。

 先輩の表情には、ほんの少しの驚きと、照れがあったように見えた。

「先輩の好きと、私の好きは違うかもしれないけど……」
「うん。それでいいんじゃないかな」
「高校を卒業するまで……いや、高校を卒業した後も、ずっと先輩といろいろな話をして、いろんなところに行きたいです」

 先輩の笑顔は、やっぱり素敵だ。
 私もよく笑うようになった気がする。もしかしたら、半年前よりかわいくなっているかもしれない。


 恋愛とは、めんどくさいものだ。

 今でもそれを否定するつもりはない。
 でも、だからこそ価値があるのかもしれない。


 その日は二人でしばらく、公園で話をしていた。

「次はどこへ行こうか」

と、眼下に見える街並みを眺めながら――

(了)
< 25 / 25 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

恋愛はめんどくさい!(番外編)星川翔太

総文字数/3,265

恋愛(学園)5ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
短編小説「恋愛はめんどくさい!」の番外編。 星川翔太が大沼京子と出会う前にどんな日々を過ごしていたのか―― 本編とあわせて読むと、二人の関係がもっと深く楽しめます。

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop