恋愛はめんどくさい!
「そういえば、まだ返事してなかったね」
私は遠くを見ながらそう言った。
「ん? なんの返事?」
「先輩の告白に対する私の返事」
「……え? 今更なしとかって、ありなの?」
先輩は少し驚いたような顔で、私の様子を伺っている。
「だって、まだ『お試しのお付き合い』のままでしょ」
「うーん、まあ、そうかもしれないけど……」
と言いつつも、先輩は何だか不敵に微笑んでいるように見える。
私は先輩の顔を見ながら、胸を張って言った。
「もちろん、これからもいっぱい話をして、いろんなところに行くつもり。これが、私の答えです」
「そっか、それはよかった」
「でも、もうひとつ、言わなきゃいけないことがあるの」
星川先輩は真顔になった。
何を言われるのだろうか、といった表情だ。
私は先輩に向かって言った。
今の、素直な思いを――
「私も……星川先輩が好きです」
春のやや強い風が吹き抜けて、クスノキの葉擦れの音がした。
先輩の表情には、ほんの少しの驚きと、照れがあったように見えた。
「先輩の好きと、私の好きは違うかもしれないけど……」
「うん。それでいいんじゃないかな」
「高校を卒業するまで……いや、高校を卒業した後も、ずっと先輩といろいろな話をして、いろんなところに行きたいです」
先輩の笑顔は、やっぱり素敵だ。
私もよく笑うようになった気がする。もしかしたら、半年前よりかわいくなっているかもしれない。
恋愛とは、めんどくさいものだ。
今でもそれを否定するつもりはない。
でも、だからこそ価値があるのかもしれない。
その日は二人でしばらく、公園で話をしていた。
「次はどこへ行こうか」
と、眼下に見える街並みを眺めながら――
(了)
