恋愛はめんどくさい!
「大沼さん、映画って、これでいいの?」
先輩が指差したのは、今日観る予定の映画のポスターだった。いま一番人気の、いわゆるハリウッドのアニメーション映画。
「はい、これです。前から見たいと思っていたので」
私の返事を聞いて先輩は頷く。
私はこれから、この映画を先輩と一緒に見るんだ……
そう思うと、何だかとっても不思議な感覚が込み上げてきた。
映画館のロビーは、休日でもないのに人が多かった。
未就学児を連れた家族、人目を気にせず肩を寄せ合うカップル、賑やかな女の子たちの集団……
私たちは自然と距離を縮めて歩いていた。
上映時間前の明るい劇場に入り、チケットに書かれた番号の席で椅子を下ろす。
私はこれから始まるストーリーよりも、横の気配が気になって仕方がなかった。
やがて照明は暗くなり、スクリーン上にはお馴染みのキャラクターたちが画面狭しと動き回り始める。
先輩は静かに笑ったり、身を乗り出したり、時々こちらを気にするように視線を動かしたり。ああ、結構楽しんでいるんだと思うと、少し安心した。
私はというと、どうしても横にいる先輩のことが気になってしまい、あまり集中して見ることができなかった。
大まかなストーリーはだいたい理解できたが、それ以外はあまり記憶にない。
結局、そんな状態のまま上映は終わってしまった。
サブスクで配信されるようになったら、もう一度見るか……なんて思いながら、私は先輩と一緒に席を立った。