恋愛はめんどくさい!

第三話 シマエナガのポーチ

 上映が終わって明るくなった劇場を出ると、先輩が少し興奮したように言った。

「思っていたよりずっと面白かったよ」
「はい。私、このシリーズ好きなんです」
「前作のやつも見たくなってきた」
「前作もおすすめですよ」

 話していて、とても心地よかった。
 自然と会話が続いていた。


 お昼過ぎにフードコートに向かった。休日はいつも人でいっぱいになるのに、こちらは映画館と違ってだいぶ空いていた。
 先輩はとんかつ定食を、私はたらこパスタを注文した。

 食事中はお互い無言だった。
 何を話そうかと考えると、逆に話すのを躊躇ってしまう、そんな感じ。いかにも高校生のデートっぽいなぁ、なんて思った途端、急に今の状況が他人事のように思えてきた。

 食べ終わった先輩は、私の方を見ていた。

「大沼さんって、食べるのゆっくりなんだね」
「……はい。友達にもよく言われます」
「いや、気にしなくていいよ。落ち着いてていいなって思っただけ」

 その一言で、一気に現実に引き戻された。そして、今まさに高校生デートをしているという、この状況を自覚する。
 どうして先輩はそういうことを自然と言えるのか……
 計算なのか、無自覚なのか。
 それとも、私が意識しすぎなのか……

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