皇命婚と告げた運命の伴侶に恋情を贈る
「覚えていて。そして信じて、キラナは俺の大切な唯一の妻だ」


迷いなく言い切られ、若干焦りながらうなずいたところ、彼がふわりと相好を崩す。


「そうだな……今夜は初夜だし、時間も遅い。俺がキラナの目と髪を含め、すべてを大切に想っているのを証明するためにもここで一緒に眠ろう」


突然の衝撃的な提案に大声を上げそうになる。

必死でこらえ、確認する。


「いいえ、その、アレン様を疑っていませんし、信じています。初夜とはいえ、証明なんて」


「俺といるのは嫌?」


「い、嫌なんて、まさか」


予想外の直球にどう答えるのが正解かわからない。

これまでとは違う、性急に距離を詰めるような接し方に戸惑うばかりだ。


「じゃあ、一緒にいよう。やっと夫婦になれたのだからふたりだけの時間がほしい。おいで」


あっさり強引にまとめ、長い両腕を広げる。

迷ったのは一瞬だった。

吸い寄せられるように体を預けた胸の中は広くてとても温かい。

私と同じような速めの鼓動と纏う香りに胸が詰まって、なぜか泣きたくなった。

居心地の良さにさらに体を寄せた私を彼が頭上で小さく笑みをこぼし、一度強く抱きしめる。

そしてそのままベッドにふたり並んで横たわった。

私を胸に閉じ込め、髪を梳く仕草に少しずつ瞼が重くなっていく。


「……今夜はなにもしない、約束する。でもいつか本当の意味で心が通ったらそのときは……いいか?」


耳元近く、普段よりも低く甘い声で尋ねられ、半分夢見心地の私は曖昧にうなずく。

小さく息を吐いた彼の唇が額に触れたのを最後に、私の記憶は途絶えた。
< 116 / 147 >

この作品をシェア

pagetop