皇命婚と告げた運命の伴侶に恋情を贈る
昨今、メリハ族の血脈が消えかかっていくと同時に、治癒の力や運命の伴侶の伝承も薄れ、メリハ族としての特徴を持たない者も多い。

もしくは子孫だと親が告げず、知らずに一生を終える者もいる。

母方の祖母は治癒力も弱く、両目が生まれつき琥珀色で変化しなかったという。

運命の伴侶や目の変化など方法も含め、多くの詳細が今も不明なのは、メリハ族が絶滅寸前なうえ、親から子へ口承で伝えられた事柄が多かったせいだろう。

父は類まれな人脈と魔術で情報操作をし、母の出自をうまく誤魔化していたそうだ。

すでに母方の祖父母は亡くなり、母方のほかの親族と交流はなく、存在するのかもわからない。

私について人から尋ねられた際には、病弱のためあまり外に出られないと話していたという。


『ワクスもずっとキラナを心配していたよ。古代の伝承上の姫とはいえ、大陸中への影響は凄まじい。神殿は姫をアクール神の御使いとして崇めているからな』


アクール大陸はこの大陸を創造したと言われる精霊王子をアクール神として崇めている。

同時に精霊王子の最愛のメリハ姫は、人間を守り抜く存在として信仰の対象になっている。

神殿は長老大司祭をトップとし、各国王族とは別の統制が取られており、国王といえど正当な理由なく勝手な干渉はできない。

現在、メリハ族の保護が大陸中に広がっているのは、神殿の影響が大きい。

神殿の統制が曖昧だった過去とは事情が異なっている。

とはいえ、神殿も国政には干渉できないため、歯がゆさを感じているだろう。
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