皇命婚と告げた運命の伴侶に恋情を贈る
『なぜ魔獣が暴れ出したのでしょう……今までこれほどひどい事態はなかったのに』


母が力なくつぶやく。


『その件は騎士団をはじめ、国が調査を始める予定だ。一刻も早く君たちを皇都へ連れて行きたいが、まだ事後処理が終了していないうえ、重症者も多くすぐには移動できない。申し訳ないが準備を整えて少し待ってほしい』


すぐに対応できずすまないとトルン医師が付け加える。


『いいえ、謝らないでください。ご迷惑をおかけするのは私たちです。よろしければ騎士団の方々の治療を手伝わせてください』


『薬師の君の力を借りられるのはありがたいが……平気か?』


『大丈夫です。怪我をされている方の力に少しでもなりたいですし、事態を早く落ち着けてキラナを皇都に行かせたいのです』


『ありがとう、助かるよ。実際、薬も薬師も医師も足りず困っていたんだ。だがくれぐれも気をつけてほしい。……ワクス亡き今、体の負担は大きいだろうし、患者の中にはトゥーイッラ魔術騎士団長がいる』


医師の発言に母がびくりと肩を震わせ、顔を強張らせる。

私には母の緊張の理由がわからなかった。


『ご忠告ありがとうございます。気をつけます』
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