皇命婚と告げた運命の伴侶に恋情を贈る
9.運命の伴侶に恋情を贈る
「本当に、無事で良かった……! 心配したのよ!」


涙を浮かべながらイスズ様がギュッと私を抱きしめる。

真っ直ぐな感情表現に心が揺さぶられ、つい先ほどアレン様の前でたくさん泣いたのに、涙が再びあふれ出す。

アレン様の後方から駆け寄ってきたイスズ様やミクス皇太子殿下、騎士団の方々が私の無事を手放しに喜んでくださった。


「おい、イスズ。そろそろキラナを離せ。夜が迫っているし、今は少しでも早くキラナや負傷者たちを安全な場所に移して休ませたい」


「そうね、ごめんなさい。急がなくちゃね。キラナさん、もう少しだけこらえてね」


私を解放したイスズ様は柔らかく相好を崩す。


「いいえ、私は……本当に皆様、ご迷惑とご心配をおかけして申し訳ございません。魔湖に潜って捜索してくださり、本当にありがとうございます。このご恩は忘れません」


心からの感謝を込めて頭を下げる。

するとミクス皇太子殿下の凜とした声が響く。


「顔を上げて。キラナ嬢は私たちの大切な仲間だからね。キラナ嬢はいつだって騎士をはじめ皆にわけ隔てない治療を施してきてくれた。多大な恩があるのは私も同じ、お互い様だ」


優しい言葉に恐る恐る頭を上げれば、ミクス皇太子殿下と目が合った。

口角を上げたミクス皇太子殿下は子どもをあやすように私の頭を軽く撫でて、アレン様によかったな、とひと言告げた。

アレン様は一瞬唇を引き結び、深く頭を下げた。

それからアレン様は私の捜索に関わってくださった全員に改めて礼を告げ、私ももう一度感謝を込めて頭を下げた。
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