皇命婚と告げた運命の伴侶に恋情を贈る
義父となるトゥーイッラ公爵は基本的に皇城内で生活しており滅多にこちらに戻らず、公爵夫人はご友人のお屋敷に招かれて、しばらくは戻らないという。

さらに公爵夫人は普段、トゥーイッラ魔術騎士団長の執務室や私室がある中央棟や東棟ではなく、西棟で生活されているそうだ。


「では後日、おふたりのご都合のよろしいときにご挨拶したいとお伝えください。トゥーイッラ魔術騎士団長は……本日お戻りになられますか」


覚悟していたとはいえ予想以上の状況に必死で動揺を押し隠す。

ヴェールを身につけていてよかった。

主人の手前、あからさまな嫌がらせなどはされないだろうが用心しなければ。

できるならギルハンたちとは、少しでも良好な関係を築いていきたい。


「アレン様は魔術騎士団長としての立場上、ご当主同様皇城内でお過ごしになられる場合が多いのです。騎士団、皇城内にも私室がございますので」


「つまり、滅多にご帰宅されないのですか?」


ギルハンの発言にたまりかねたのか、メアリが口を挟む。


「これまではそうですね。ですが待っている方がおられるのですから、今後は変わられるかと」


突然の侍女の質問に気を悪くもせず、穏やかな微笑みを向けられる。

ギルハンの考えもよくわからないが、とにかく彼は戻ってこないのだろうと悟る。

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