皇命婚と告げた運命の伴侶に恋情を贈る
「アレン様からヴェールは自室以外では常に身につけられるよう伝言を承っております」


唐突な指示が一瞬理解できず、反応が遅れる。


「お嬢様の御身のためと伺っております。もちろん食事など必要な際はお外しください」


ギルハンは私の動揺に気づいたのか、気遣いの言葉を付け足す。


「お言葉ですが、伯爵家ではそのような指示はございませんでした。自邸なのに警戒が必要なほどこちらは危険なのですか?」


メアリが私の心の内を代弁するかのように厳しい声を発する。


「まさか屋敷内は安全です。ただ用心を重ねてとのアレン様のご指示です」


柔和な表情で取りなすギルハンは手早く話を切り上げ、屋敷内の説明へと話題を変えていく。

その姿にこれ以上彼に尋ねても無駄だと悟り、小さく息を吐いた。

それから中央棟外れの部屋へとギルハンに案内された。

どうやら客室を私のために改装してくれたらしい。

トゥーイッラ魔術騎士団長の私室は東棟だという。

やはり私が厄介なのだろう。

小さな、所々で、彼の胸の内が伝わってくるようで、心の奥が重く沈む。

今日からはここが私の家になるのだから一日も早く慣れなくてはと思うのに、明るい気持ちにはなれそうになかった。
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