皇命婚と告げた運命の伴侶に恋情を贈る
翌日のお昼過ぎ、メアリが部屋にやってきた。


「起きて大丈夫なの? 顔色は良いみたいだけど無理しないで。私は部屋から出られないし、休んでいて構わないのに」


「ご心配をおかけしましたがもう平気です。お嬢様こそ体調はいかがですか? 図書室で本でも借りて参りましょうか?」


「お義母様に手紙を書いているから今は大丈夫。薬草類を届けてくださるのを一旦止めていただくようお願いしようと思って」


休憩用にお茶の準備をしてくれている侍女にさりげなく視線を向け、伝える。

きっと昨日の状態であれば義母からの荷物は確認されて、薬の類いはすべて取り上げられるだろう。

材料なら多少の痛手ですむが、母の薬は困る。

紅茶缶の中身を見られるか不明だが用心すべきだ。

昨夜も〝私の薬と材料〟は渡したが戸棚に置いてある紅茶缶は渡さなかった。

この中身を知るのは屋敷内で私とメアリしかいない。


「そうですね、私から母にも事情を説明いたします」


メアリと話している間に給仕を終えた年若い侍女が退出する。

扉が完全に閉まった途端、メアリが私の手首の赤みを確認する。


「リラ様のお薬は使われましたか?」


「いいえ、この程度ならしばらくすれば治るから。痛みもないし。それよりすぐに赤くなる体質は改善できないのかしらね」
< 94 / 163 >

この作品をシェア

pagetop