空に預けた恋を誓う〜エリートパイロットは約束の幼馴染を一途に愛しぬく〜
断言する声には、疑いを挟む余地すらなかった。そのまま体を引き寄せられ、拓翔の腕の中に包まれる。
「だから、安心して全部任せておけ。君はただ、俺に守られているだけでいい」
張り詰めていたものがほどけ、仄香は再び涙をこぼした。だがそれはもう、先ほどまでのものとは違っていた。
──搾取されるばかりの人生だった。
常に比べられ、見下され、価値がないもののように扱われ続けてきた日々。けれど、目の前のこの人だけは、どんな時でも泥の中から掬い上げてくれて、自分の存在を何よりも尊いものとして光の中に置いてくれる。
母の言葉も、姉の悪意も、この腕の中にいる間だけは決して届かない。
(……信じたい。私は、拓ちゃんのそばに、ずっといたい……)
自分を犠牲にすることでしか保てなかった平穏をあっさりと塗り替えてしまうほどに、拓翔の想いはまっすぐで、あたたかかった。
仄香にとっても、拓翔がすべてだ。彼がそばにいてくれるなら、それだけでいい。
過去に縛られていた自分を少しずつ手放してもいいのだと、今なら思える。
仄香はそっと拓翔の胸元に顔を埋め、その体に身を預けた。
「……ありがとう、拓ちゃん。大好き……」
涙とともにこぼれた言葉に、拓翔は愛おしさを滲ませながら、何度も優しく頭を撫でてくれる。
「俺も大好きだよ、仄香」
耳元で低く響く声が、心地よい痺れとなって身体に広がる。
(拓ちゃんが守ってくれる。……だから私も、強くならなきゃ)
彼がこれほどまでに大切にしてくれるのなら、自分自身も、自分を大切にしたい。彼が愛してくれる「自分」を、もう二度とあの人たちに踏みにじらせたくない。
そう願いながら、彼のシャツを握る手に少しだけ力を込めた。
重なったぬくもりの中で、二人だけの穏やかな時間が、静かに流れていった。