空に預けた恋を誓う〜エリートパイロットは約束の幼馴染を一途に愛しぬく〜

 彼は仄香の左手をそっと取り、自分の唇を寄せた。
 
「……覚えてるか。将来はパイロットになって、この制服で君を迎えに行くって言ったこと」

「え……」

「あのときの約束を、ずっと果たしたかった」

 それは幼い日の彼が差し出してくれた、たった一つの光。その言葉を支えに生きて──そして今、彼はこうして見つけてくれた。

「だからもう一度、ここで誓わせてほしい。誰にも邪魔されない場所で、俺たちだけの形で」

 そう言って彼が取り出したのは、小さな箱だった。中に収められていたのは、かつて壊されかけながらも守り抜いた「花の指輪」を象った栞。

 それが今は彼の手で直され、繊細な彫金が施された姿になっている。

 過去の想いも、離れていた時間も、そのすべてを愛してくれているという、何よりの証明。

 拓翔はその一つを手に取り、仄香へ差し出す。

「指輪が『約束』なら、この栞は『永遠の誓い』だ。……加賀美仄香さん。これからもずっと、俺の愛する女性でいてくれますか?」

「……っ」

 仄香は涙を滲ませながら、何度も頷いた。そして震える手で、それを拓翔の手のひらに重ねる。

「はい……。私も、ずっとあなたが好きでした。……今も、これからも……ずっと」

 ゆっくりと互いの栞を交わし合う。

 それは過去も現在も、そして未来までも結び直すような、静かな誓いだった。

 拓翔はそっと立ち上がり、仄香の顎に指を添えて顔を上げさせる。

「……愛してるよ、仄香。これから先も、ずっと」

 言葉の続きをなぞるように、唇が重なり合う。

 天から差し込む光が二人をやわらかく包み込み、仄香はこれ以上ないほどの幸せを噛みしめながら、そっと目を閉じた。


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