空に預けた恋を誓う〜エリートパイロットは約束の幼馴染を一途に愛しぬく〜

「拓ちゃん!」

 一つ年下の、素直でかわいい女の子。社長令嬢という肩書きとは裏腹に、そんなことをまるで感じさせない、まっすぐな親しみを込めていつも名前を呼んでくれていた。

 仄香と出会ったのは、夜が近づく夕暮れの公園だった。

 父の整備工場のすぐ近くにある、小さな公園。仕事が終わるまでの時間を潰すため、拓翔はよくそこで過ごしていた。

 一人ぼっちでブランコを漕いでいた仄香を見つけたのは、暗くなりかけた空の下。寂しげに目を伏せ、誰もいない公園に小さな女の子がポツンと残っているのが妙に気になって、思わず声をかけたのが始まりだ。

 それ以降一緒に遊ぶようになり、他愛のない話を重ねるうちに、仄香は純粋に拓翔を慕うようになった。

 父もまた、いつも拓翔のそばでにこにこと笑う仄香を実の娘のように可愛がった。仕事の合間に、父が作った茶色いおかずばかりの弁当を三人で囲んだこともある。
 
 休日には、油の匂いが立ち込める工場内を「探検」と称して三人で笑いながら歩いたりもした。仄香と過ごす時間は、どれも心を温かくしてくれる記憶ばかりだ。

 そして、拓翔が胸に秘めた大きな夢を、父以外で本気で応援してくれたのも仄香だけだった。

「拓ちゃんなら絶対になれるよ!私、応援してる!」

 その瞳には、少しの曇りもなかった。

 幼い頃から飛行機が好きで、パイロットになりたいと語った拓翔を、彼女はキラキラとした瞳で見つめてきた。そこには素直な尊敬と憧れだけが浮かんでいた。

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