空に預けた恋を誓う〜エリートパイロットは約束の幼馴染を一途に愛しぬく〜
一方で、そんな優しい仄香を虐げる、彼女の姉の里穂のことはその頃から大嫌いだった。
仄香と年子の姉妹である里穂は拓翔と同級生で、通っていた小学校でも同じクラスだった。当時から常に自分が主役でなければ気が済まず、取り巻きを侍らせてはクラスの頂点に君臨する、いわば「サル山のボス」。
確かに見た目だけは整っていたし、いつもブランド品を身に着け流行りのものに囲まれていたので、里穂に憧れる同級生は多かった。だが、拓翔の目には、その内面の醜さの方が勝って見えていた。
仄香が身につけるものも質は良かったが、そのほとんどが姉のお下がりだった。そして何より、彼女は家に帰る時間になると、いつも決まって暗い顔をした。
なぜ、仄香があんなに遅くまで家に帰りたがらなかったのか。里穂を見ていれば、その理由は一目瞭然だ。
里穂は拓翔のことも日常的に見下していたから、仄香が家でどのように扱われているか、想像するのは簡単だった。
それでも、当時の自分にはなんの力もなく、助けてあげることもできない。そんなくすぶるような悔しさが、常に胸の中にあった。
(せめて、俺のそばにいるときだけは笑っていてほしい)
そんな思いを父に話すと、父は嬉しそうに「お前も男だな」と笑った。