空に預けた恋を誓う〜エリートパイロットは約束の幼馴染を一途に愛しぬく〜
しかもこれから向かう先は、拓翔の家。その事実が胸をそわそわと騒がせ、鼓動ばかりが早くなる。
そんな仄香の戸惑いをよそに、タクシーは夜の街を滑るように走り続け、やがて一棟のタワーマンションの前で静かに止まった。
「行くよ」
拓翔は自然な仕草でドアを開け、さりげなく手を添えて降ろしてくれる。
エントランスのセキュリティを抜け、上層階直通のエレベーターへ乗り込む。静かな機械音とともに箱が上昇し、やがて二十六階で扉が開いた。
落ち着いた照明の並ぶ内廊下が進んでいき、その中の一室の前で足を止めた拓翔は慣れた手つきで鍵を開けると、扉を押し開いた。
「どうぞ」
さりげなく腰に手を添えられ、中へ一歩踏み入れる。
「お、お邪魔します……」
そうして目にした光景に、文字通り言葉を失った。
実家のマンションも、里穂や母の見栄もあって決して狭くはなかった。それでも玄関に入った瞬間から、何もかもが違っていた。
広い玄関ホールに、奥へと伸びる廊下。すべてが、今まで見てきた住まいとは桁違いだった。
用意された柔らかなスリッパに履き替え、戸惑いながらリビングへ進む。