空に預けた恋を誓う〜エリートパイロットは約束の幼馴染を一途に愛しぬく〜
壁一面の大きな窓の向こうには、宝石を散りばめたような都会の夜景がどこまでも広がっていた、思わず息を呑むほどの光景だった。
(姉さんが好きそう……)
ふと、そんな考えが脳裏をかすめる。同時に、今頃あの家で怒り狂っているであろう里穂と母の顔が浮かび、仄香は反射的に身を固くした。
「仄香。そんなところにいないで、こっちにおいで」
拓翔の穏やかな声に肩を震わせ、仄香は促されるまま、ふかふかのソファに浅く腰を下ろした。高級な革の感触が、擦り切れたエプロン姿のみすぼらしい自分にはひどく不釣り合いに思えて落ち着かない。
「俺何か飲む?コーヒーでも紅茶でも……ハーブティーでも、大抵のものは揃ってるから」
「あ……えっと、なんでもいい、です」
咄嗟に敬語でそう答えてしまい、仄香は「せっかく聞いてくれたのに」と申し訳なさで肩を落とす。けれど拓翔は笑みを崩さず、「じゃあ、落ち着けるものを淹れるな」とキッチンへ向かった。
ほどなくして、甘く優しい香りが漂ってきた。差し出されたのは、真っ白なマグカップに注がれたココアだった。
「ありがとう……」
受け取ったカップはほどよく温かく、まるで拓翔の優しさが込められているようで、体がこわばり、うまく力が抜けない。