空に預けた恋を誓う〜エリートパイロットは約束の幼馴染を一途に愛しぬく〜
「……っ、なにして……」
「こんなに荒れて……相当痛いはずだ。辛かっただろ」
「……」
自分を責めるような彼の悲痛な表情。なぜ彼がこんな顔をするのかわからなくて、仄香の胸も理由のない痛みに震える。
「これからは、こんなに痛い思いは二度とさせない。仄香には、少しだって辛い思いをしてほしくない」
拓翔はそう言い切ると、今度は仄香の髪を一束掬い上げた。乾いたばかりの柔らかな毛先に、そっと唇を落とす。
「指先も、髪の先まで……仄香の全部が、俺にとっては何より大事なんだ」
慈しみの言葉が、心の奥へと染み込んでいく。伏せられた長い睫毛の影とそこに宿る熱に、仄香は目眩を覚えた。
どう応えればいいのか、何を言えばいいのかもわからない。ただ体の奥が熱を帯びて、震える唇を噛みしめることしかできない。
「仄香……」
そのまま静かに引き寄せられ、拓翔の大きな腕の中に閉じ込められる。
胸の中でどんどん早まる鼓動に戸惑いながらも、仄香はそっと腕を伸ばし、彼の背中に回した。
──それが、今の仄香にできる、精一杯の「答え」だった。