空に預けた恋を誓う〜エリートパイロットは約束の幼馴染を一途に愛しぬく〜
大量の日用品や洋服が、次々とあるべき場所へ収められていく。広いリビングを行き来するその背中を眺めながらもどかしい気持ちを抱くが、今の仄香に許されているのは、カップを両手で包み込み、少しずつ口に運ぶことだけ。
複合施設で立ち寄ったカフェで買ったリラックス効果のあるハーブティーは、やさしい香りを漂わせ、ゆっくりと体の内側を温めていく。
(……なんだか、申し訳ないな)
実家では、こうして座って飲み物を味わう時間なんてなかった。そのせいか何もしなくていい今の状況が、かえって落ち着かない。
やがて、拓翔は乾燥機から出したばかりの洗濯物が入ったカゴをリビングへ持ってきた。手慣れた様子でタオルを畳み始める彼を見て、仄香はついに耐えきれず、ソファから腰を浮かせた。
「あ、あの……拓ちゃん」
「ん?」
「私も……なにか手伝わせてほしいな」
少し迷いながらそう言うと、拓翔の手が止まった。わずかに眉を寄せ、すぐに困ったように表情を緩める。
「ダメだよ。乾いた洗濯物は手の水分を奪うし、摩擦もよくない。せっかくクリームを塗ったばかりなんだから、そのままゆっくりしてて」
「で、でも……私、拓ちゃんにしてもらってばかりで申し訳なくて……」