空に預けた恋を誓う〜エリートパイロットは約束の幼馴染を一途に愛しぬく〜
仄香は膝の上で、クリームの馴染んだ指先をもじもじと動かした。何かを返さなければここに居てはいけないような、そんな消えない不安が胸を掠める。
「お願い。私も……拓ちゃんのために、何かしたいの」
切実な願いを込めた瞳でじっと見つめると、拓翔はタオルを持ったまま動きを止めた。しばらく迷うような沈黙のあと、降参したように小さく息をつく。
「……参ったな。仄香にそんな顔をされたら、断れないよ」
そう言って、しぶしぶといった様子でカゴを仄香のほうへ引き寄せる。
「わかった。じゃあ、この部屋着だけお願いしていいかな」
「うん。拓ちゃん、ありがとう」
ほっとしたように笑うと、拓翔もつられるように口元を緩めた。
拓翔のすぐ隣へ腰を下ろし、穏やかな空気の中で手を動かしていく。自分よりもふた回りも大きな拓翔のTシャツを丁寧に畳んでいると、彼との体格差を改めて突きつけられるようで、仄香の胸の鼓動はまた少しだけ早くなった。
布が擦れる小さな音だけが響く中、拓翔がふと、トーンを落とした声で切り出した。
「なあ、仄香」
少し改まった声音に、仄香は手を止めて顔を上げる。
「なあに、拓ちゃん」
「……俺は、ここでは君の好きなように、したいように過ごしてほしいと思ってる」