10年越しの溺愛——御曹司は私を逃さない
たぶん、さっきの「雰囲気変わりました?」っていう質問も、その延長線上にあるんだろうなと察して、私は内心で冷や汗をかきながらも、なんとか平静を装ってみせる。
「そう?何も変わってないと思うけどな~」
できるだけ軽く、いつも通りを装ってそう答えてみたけれど、美織ちゃんは全然納得していない顔で、むしろ楽しそうに口元を緩めている。その様子を見て、ああ、これは逃げられないやつだ、と半ば諦めにも似た気持ちが込み上げてくる。
「白石さん。この私が気づかないとでも?」
自信満々にそう言い切るあたり、本当に若いというか、怖いもの知らずというか、その勢いに押されてしまいそうになる。
「最近、毎日ヘアセットは変えてるし、アクセサリーは邪魔だとか言っておきながら、今は毎日つけてるじゃないですかっ」
そう言いながら、美織ちゃんは私の手元に視線を落とし、じっと指先を見つめてくる。その視線の先にあるのは、つい最近つけるようになったリングで、無意識にそれを隠すように手を引っ込めたくなる衝動をぐっと堪えた。
「この指輪はなんですかっ!」
ぐいっと身を乗り出して問い詰めてくるその勢いに、思わず言葉が詰まる。
「いや、別に…」
しどろもどろにそう返すしかできなかったけれど、これに関しては本当に深い意味なんてない!ただ、なんとなく気分でつけているだけ!