10年越しの溺愛——御曹司は私を逃さない



「アイシャドウだって、今までマットだったのに、最近はキラキラしてるし?」

「ははは…」


乾いた笑いが漏れる。鋭い、本当に鋭すぎる。

じーっと、逃げ場なんてどこにもないと言わんばかりに私を見つめ続けるその視線に耐えきれなくなって、私はゆっくりと息を吸い込み、観念したように口を開いた。


「…実は、す…」

「す?」


美織ちゃんが首を傾げる。
私はぎゅっと指先に力を込めてから、意を決して口を開いた。


「好きな人ができたの…」


そう白状した瞬間、胸の奥に溜め込んでいたものが一気に外に流れ出たみたいで、少しだけ肩の力が抜けた気がした。

美織ちゃんは一瞬きょとんとしたあと、すぐに驚いたように口元に手を当てて、目を丸くしている。その反応を見て、思わず心の中で苦笑する。

わかるよ、わかるよ、美織ちゃん。その顔になるのも無理ないよね。だって、私自身が一番驚いてるんだから、最近の自分に。

恋なんて、もうしないって決めていたはずだったのに。あのとき、あんなふうに終わって、もう二度と同じ気持ちになることはないって、あんなに強く思ったのに。

それなのに気づけば、あの人の一言や仕草に一喜一憂して、少しでもよく見られたいなんて思っている自分がいるなんて、ほんと、どうかしてると思う。


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