10年越しの溺愛——御曹司は私を逃さない
その言葉に、胸の奥がひやりと冷たくなる。たしかに、想像するだけで息が詰まりそうだった。
「たしかに…」
私が小さく頷くと、紗耶香は「でしょ?」と得意げに笑った。
「だからこそ、外部の、それも自分たちより格上の存在に頼るしかなかったのよ。黒崎グループに相談して、守ってもらうしか」
「なるほどな…」
私の隣で井口が腕を組みながらぼそっと呟く。
「でもさ、黒崎グループがうちを助けるメリットってあんのかよ?普通に考えたら、放っておけば弱っていくライバルだろ」
疑問はもっともだった。私だって同じことを思っていたからだ。
「そりゃあるでしょ。一応、星川商事だって大手だったんだから。簡単に潰れていい会社じゃないわよ」
紗耶香はあっさりと言い切る。
「それに、黒崎グループにとってもイメージって大事でしょ?困ってる企業を助けるって、悪い話じゃないじゃない」
ふーん、と井口は納得したようなしないような顔で、枝豆を一つ口の中に放り込んだ。
「あの黒崎社長がね~。そんな風に見えねーけどな」
その言葉に、私は思わず苦笑してしまう。
確かに第一印象は井口の言う通りだった。