10年越しの溺愛——御曹司は私を逃さない



「白石。経理をやめて俺の秘書になるか、俺と一緒に住むか選べ」


その言葉を耳にした瞬間、私の頭の中は真っ白になった。


「…………はい?」


ど、どっち…とは?まって……まって、まって。今、なんて聞いたの?


「もう一回言ってもらっていいですか?」


震える声で頼む。幻聴かと思ったけれど、社長は少しも動じず、低い声で繰り返す。


「俺の秘書になるか、俺と一緒に住むかどっちか選ばせてやる」


は!?げ、幻聴じゃなかった……!

理解が追い付かない。むしろ頭が痛くなってくる。

どうしてこうなった……!?


「ど、どういうことですか!?」

「病院で、でけー声出すなよ」

「す、すみません……」


声が震えるのも仕方ない。

だって、だって……!こんなことを…社長がこんなことを言うなんて……!


「危なっかしーんだよ。俺の目に入るとこにいさせる」

「…っ、命令ですか……?」


私の声は思わず小さくなり、心臓がドクドクと胸を打つ。

社長はフッと笑った。

その笑顔に、心臓が跳ね、意識が揺れる。

私の心臓、少しは空気を読んでくれ……そう思いながらも、ドキドキが止まらない。


もうこういうのはやめる。恋愛なんてしない、ときめきだって勘違いだ。

そう決めたし、そう信じていたはずなのに。


またこうして黒崎社長によって振り回されている現実を、私は認めたくなかった。


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