10年越しの溺愛——御曹司は私を逃さない
車が走り出してしばらくして、見慣れた景色が近づいてくる。
自分のアパートが見えた瞬間、たった2日しか離れていないのに、なんだかすごく久しぶりに感じた。
……やっぱり落ち着く場所だ。
「社長。時間かかると思うので、どこか行ってきていいですよ」
「なんで?」
「なんでってそりゃ……引っ越しするわけですし。今日だけじゃ終わりませんよ」
そう、どう考えても無理だ。
荷物だってそれなりにあるし、片付けも必要だし、本気でここを引き払うなら、何日かかかるはずだ。
それなのに――。
「必要最低限のものだけでいい」
「え?」
「家具は新しく一式揃える」
「え!?」
そんなの聞いてない!
「大きい声出すな」
すぐに眉間に皺を寄せられて、ぴたりと口を閉じる。でも、頭の中は大混乱だ。
え、家具全部新しくって……どういうこと?今まで使ってたものは?まだ全然使えるし、捨てるなんてもったいないし、そもそもそんな簡単に言うことじゃないでしょ。