10年越しの溺愛——御曹司は私を逃さない
「全部、業者に任せてある。それも、明日の予定だ」
「……また勝手に……」
さすがにこれは、自分勝手すぎるんじゃない?いくら社長だからって、ここまで私のプライベートに踏み込んでくるなんて、普通じゃない。
ムッとした気持ちを隠しきれずにいると、隣から小さく「はぁ……」とため息が聞こえてきた。
……いや、ため息つきたいのはこっちなんですけど?
思わず睨みそうになるのを堪えていると、
「悪かったよ。勝手にして。これからは聞くから」
意外にもあっさり謝られてしまう。
「……。」
その言葉に、逆に何も言えなくなる。
……なんで、昨日からこんなに謝らせてばっかりなんだろう。悪いのは私じゃないはずなのに、こうやって素直に謝られると、全部自分が子どもみたいに思えてくる。
もうすぐ30歳だっていうのに、こんなことでムキになるなんて。ほんと、大人げない。
「梨沙、こっち見ろ」
低く呼ばれて、びくっと肩が揺れる。
「…っ、名前、やめてくださいっ」
思わず強く言い返してしまう。
その呼び方、やめて。頭がおかしくなりそうになるから。