10年越しの溺愛——御曹司は私を逃さない



「全部、業者に任せてある。それも、明日の予定だ」

「……また勝手に……」


さすがにこれは、自分勝手すぎるんじゃない?いくら社長だからって、ここまで私のプライベートに踏み込んでくるなんて、普通じゃない。

ムッとした気持ちを隠しきれずにいると、隣から小さく「はぁ……」とため息が聞こえてきた。

……いや、ため息つきたいのはこっちなんですけど?

思わず睨みそうになるのを堪えていると、


「悪かったよ。勝手にして。これからは聞くから」


意外にもあっさり謝られてしまう。


「……。」


その言葉に、逆に何も言えなくなる。

……なんで、昨日からこんなに謝らせてばっかりなんだろう。悪いのは私じゃないはずなのに、こうやって素直に謝られると、全部自分が子どもみたいに思えてくる。

もうすぐ30歳だっていうのに、こんなことでムキになるなんて。ほんと、大人げない。


「梨沙、こっち見ろ」


低く呼ばれて、びくっと肩が揺れる。


「…っ、名前、やめてくださいっ」


思わず強く言い返してしまう。

その呼び方、やめて。頭がおかしくなりそうになるから。


< 85 / 195 >

この作品をシェア

pagetop