カーテンコールはまだ鳴らない。
第一章 英雄という名の

⼈のざわめきが⾶び交い、パソコンの鳴らす⾳があちこちから響き渡る。

――ここは、警視庁組織犯罪対策第⼀課.....通称組対⼀課の執務室だ。

慌ただしい喧騒の中、執務室の奥にある⾃分のデスクに座った

燐⾳響華は、上に提出するための調査報告書をまとめていた。

時折、ウルフカットの⿊髪をかき上げながら、リズミカルに鳴る

キーボードのタイピング⾳に合わせて作業を進める。

ようやく締めくくりの⼀⽂を打ち終えた響華は、途端に⼤きく息を

つき、「んーっ……!」と声を漏らしながら⼤きく伸びをした。

⻑時間のデスク作業で凝った肩をぐるぐる回しながら、

「疲れた……」と⼩さく呟く。

組対に配属されてもう丸2年が経つが、未だにこの作業は苦⼿だった。
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