カーテンコールはまだ鳴らない。

「組対って聞いたときも、正直ちょっと期待してたんだよね。

でっかい悪と戦う、みたいな」

響華は肩をすくめ、笑ってみせた。

「……まあ、現実は地味だし、空振りばっかだけど」

隣に立つ蓮の気配を感じながら、

それでも言葉は止まらなかった。

「理想と現実のギャップ、ってやつかな〜。

刑事ドラマの見すぎかもだけどさ」

そう言って、最後に小さく息を吐く。

愚痴りながらも、どこか諦めきれない響華の横顔を、

蓮は黙って見つめていた。

響華がふーっと缶を置き、少し肩をすくめて蓮を見やる。

「そういえば五木くんは? なんでここ来たの?」

軽い口調だが、声には自然な好奇心が混じっていた。

長時間のデスクワークで固まった肩をほぐすように、

缶を片手で軽く回しながら問いかける。
< 86 / 107 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop