カーテンコールはまだ鳴らない。
「組対って聞いたときも、正直ちょっと期待してたんだよね。
でっかい悪と戦う、みたいな」
響華は肩をすくめ、笑ってみせた。
「……まあ、現実は地味だし、空振りばっかだけど」
隣に立つ蓮の気配を感じながら、
それでも言葉は止まらなかった。
「理想と現実のギャップ、ってやつかな〜。
刑事ドラマの見すぎかもだけどさ」
そう言って、最後に小さく息を吐く。
愚痴りながらも、どこか諦めきれない響華の横顔を、
蓮は黙って見つめていた。
響華がふーっと缶を置き、少し肩をすくめて蓮を見やる。
「そういえば五木くんは? なんでここ来たの?」
軽い口調だが、声には自然な好奇心が混じっていた。
長時間のデスクワークで固まった肩をほぐすように、
缶を片手で軽く回しながら問いかける。