極上パイロットの一途な執愛
プロローグ
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大きな窓から美しい夜景を見下ろせる、高層マンションの一室。内装はもちろん、家電もインテリアも上質なもので揃えられた贅沢な空間。
結婚してから今日までの一年間、私はここで暮らしてきた。だけど、それは思い描いてきた新婚生活とはほど遠いものだった。
「蒼真さんと結婚して、ふたりで幸せな家庭を築きたいと思っていたのにな……」
私がもらしたつぶやきに、返事をしてくれる人はいない。
しんと静まり返った広いリビングには、時計の針が進む音だけが響いていた。その無機質な音が、余計に孤独を際立たせる。
今日は私と蒼真さんとの初めての結婚記念日。
――そして、私がこの部屋を出ていく日だ。
ゆっくりと息を吐き出し、テーブルの上へ視線を落とす。
そこにあるのは緑色のインクで『離婚届』と印刷された書類。妻である私の欄は、すでに記入をすませてあった。
蒼真さんが夫の欄を埋めて提出すれば、私は朝比奈愛里から香坂愛里に戻る。