極上パイロットの一途な執愛

「どこか具合が悪い? 病院に行こうか」

 彼の気遣いに「ちょっと疲れちゃったみたいです」となんとか誤魔化し、自分の部屋に閉じこもる。

 部屋でひとりきりになると、『一年経っても赤ちゃんができないようなら、お相手を考えなきゃね』という言葉が勝手に頭に浮かんだ。

 たまたま耳にしてしまったお父様とお母様の会話は、私にとってとてもショックな内容だった。

 だけど、冷静に考えれば、ご両親が孫を望むのはごく自然なことだ。

 もともと蒼真さんに自分の会社を継いでもらいたいと考えていたのに、パイロットになるという蒼真さんの意志を尊重して、息子に会社を託すことをあきらめたお父様。

 その経緯を考えれば、将来孫が生まれたらその子に会社を……と期待するのは当然だ。

 蒼真さんと結婚した私に跡継ぎを生んでほしいと思うのも、年齢を考えてできるだけ早くと望むのも、理解できる。

「だけど……」

 あせりと不安が込み上げ、ぎゅっと手のひらを握りしめる。

 私たちは、結婚して二カ月が経つのにハグすらしていなかった。夫婦や恋人どころか、友達よりも遠い距離感。

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