極上パイロットの一途な執愛
「記念日の夜を一緒に過ごしたかったのに悪天候で到着が深夜になって、もうどこの花屋も閉まってて、それでも必死に営業している店を探した」

 蒼真さんの言葉に混乱しながら「どうして……」とつぶやく。

「ようやく見つけた花屋でありったけのバラの花を買って自宅に帰ったら、愛里はいなくて離婚届だけが残されていた。ひとりきりの部屋で渡す当てのないバラが枯れていくのを見るのは、どんな気持ちだったと思う?」
「だ、だって、蒼真さんはあの日、私に話したいことがあるって……」

 それは、私たちの結婚生活を終わらせようという話だったはずだ。

「あの日俺は、花束と一緒に愛里にこれを渡すつもりだった」

 差し出されたのは、高級感のある綺麗な箱だった。

 目の前でその箱が開かれる。そこに入っていたのは、男性用のシンプルで上品なプラチナの指輪と、美しいダイヤが綺麗に並んだ女性用の指輪。

「結婚指輪……?」

 信じられない気持ちでつぶやくと、蒼真さんが「あぁ」とうなずく。

「本当は籍を入れたときに用意したかったけど、愛里に断られただろ。結婚式も、新婚旅行も、指輪もいらないって」

< 139 / 163 >

この作品をシェア

pagetop